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体調不良を訴える開咬症例患者にBite Plateを利用して補綴修復した一症例

平成14年度 日本補綴歯科学会関西支部学術大会にて発表(平成15年3月9日)

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開咬患者の多くは、咬頭嵌合位が不安定で咬合性外傷、歯周病の進行を見るケースが多く、今回は体調不良をはじめ諸症状を訴える開咬患者を診る機会があり、バイトプレートを用いて咬合位の再構築と偏心運動時の臼歯離開を付与し、咬頭嵌合位の安定を図った症例を報告する。


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主訴は右上臼歯部、噛みしめたときに痛みがあるという事で来院、 問診結果では 就寝時、仰向けの姿勢は右側の腰が痛く、右に向くと首が痺れ、左に向くと左肩が痛い。 右側のこめかみや目の奥が時々痛くなったり、耳鳴りがする 頚肩に関しては右側の首と左側の肩が凝り、また右膝の痛みと右足がよく躓く。等の体調不良を訴えた。

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口腔内診査では
・上顎前突・開咬
・偏心運動では、常に臼歯部が接触し前歯部のガイドは無く、しかも右上5番の動揺度は M3で痛みがあり、そのために、この時点では左側の片側噛みであった。
・咬合位不安定で本人もどこで噛めばいいのか分からない状態であり、右側顎関節は開口 運動中期にクリックを認めた。

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咬頭嵌合位の安定、咬合様式の改善、歯周病に対する処置と口腔筋機能療法という方針の元に治療顎位を検討し、咬頭嵌合位、後方位、マイオセントリックポジションの三顎位の顎関節規格撮影を行った結果、マイオセントリックポジションを治療顎位とした。
バイトプレート装着前に、左右側切歯、犬歯にレジンを添加して、偏心運動時のガイドを付与し、バイトプレートの調整は週1回の割合で3ヶ月間行った。
右顎関節のクリックは調整3回目より消失、触診による下顎頭の動きはスムースであった。

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プレート調整最終段階での顎関節規格撮影の結果では、両側下顎頭は術前よりも前下方に位置していた。
筋診断では術前に違和感を訴えた諸筋は左側咬筋以外、術後では左右差無しの状態。
姿勢に関しては、術前は左肩上がり、骨盤左上がり、そして頭部は左側への傾斜・左回旋であったが、この段階では、よほど注意深く見ないと左右の非対称性が分からない程度に姿勢は修正されていた。

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バイトプレートをバイトレジスターとして、研究用模型を咬合器に装着し再プランニングを行ったのち最終治療にはいった。

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最初に臼歯部の咬合位を確立し、前歯部は離開咬合が円滑に行われるように調和させた。

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治療終了直後の筋電図に関して、Scan 9では術前に比べかなり改善され、Scan 11では、咬頭嵌合位での噛みしめでは、修正された下顎位への咀嚼筋の順応はまだ十分ではないが術前に比べればかなり改善されている。

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Scan 2では、Velocityは落ち、最大開口位で左側に約3mmほどズレるもののリサージュはスムースな方向に改善されていた。
Scan13では、術前と術後との差はほとんど認められなかったが、術後では下顎が左右にスムースに動くように改善されていた。
Scan 5では、前頭面での左右のブレが気になるが矢状面での観察では、COは山下の言う生理的筋肉位に近いと思われる。
 
※頭蓋に対して偏位した下顎位に生じた現存の咬頭嵌合位で常時開閉口運動を繰り返して いると、その位置が順応しエングラムが働いて恒久習慣となり、一見正常な開閉口運動 をしている場合がある。

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自然立位での頭蓋、頸部のレントゲン撮影による観察においても、矢状面では、術前時の頭蓋の傾きは修正され、舌骨が前下方へ若干移動していることが窺える。更に、患者自身が「嚥下が楽になった」という言葉からも想像して、気道・食道に余裕が生まれたようである。
術前の前頭面像では歯椎が回旋・傾斜のために左右対称性がなく、下位頸椎も左回旋でしたが、術後は歯椎も左右対称になり、下位頸椎の回旋も修正傾向にあった。
 
※生体潤滑理論では、関節に自重(負荷)が掛かった状態が最も生理的で、反対に関節を 牽引すると潤滑が失われて非生理状態になる。
 頸椎の構造を見ると頭部からの圧力を受けることによって、頸椎の各椎骨が自動的に中 心軸に揃うようになっている。特に第1,2頸椎の構造はその傾向が強い。頭部の重心 が頸椎の長軸方向と一致すると荷重は頸椎の生理潤滑及び構造的整合性を高める。
 
※神経は生体内で発生する圧迫には強く、牽引に対して伝達に障害を起こす。

 考察

 本症例では、生理的筋肉位が得られたようであるが、顎関節規格X線写真の評価では、咬頭嵌合位での両側下顎頭は関節窩内でやや前下方に位置し、この咬頭嵌合位よりも後上方に少し移動した顎位が適正かもしれない。
 しかし、X線検査法の顎関節規格撮影つまり側斜位経頭蓋投影法の正診率は50〜60%と報告されており、この下顎位が顆頭安定位ではないと言い切ることができない。一方、MKGやEMGでは術前に比して術後は改善傾向が見られ、バイトプレートを用いて咬合干渉を除去し、咀嚼筋の左右前後のバランスを改善したために筋肉位に相当するところに下顎位が設定されたと思われる。
 その位置で咬頭嵌合位を作り、偏心運動時のガイドを付与することによって、「歯椎のズレによって頭部を支えきれなくなり、その役目を脊柱全体が補正する」という姿勢不良化を頭部のバランスが整い環椎上関節窩と後頭顆が接する頭蓋頸椎支点への荷重が鉛直線上になり、環椎と軸椎のズレが修正されるに伴い下位脊椎の傾斜、回旋が修正され、肩・腰のラインがほぼ水平となったと考えられる。それが術後の「牛ではなくウサギになった感じ。」、「首のこりがなくなった。」、「躓かなくなった」という患者の言葉に表現されていると考える。


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